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帝王切開Q&A

帝王切開に関する質問で多いものにお答えいたします。

帝王切開について

帝王切開に危険はない?

医療技術の進歩により、帝王切開による出産もより安全に行われるようになりました。 しかし、「手術」であることに変わりはありませんので、術後合併症が起こることがあります。 それぞれの危険性をきちんと認識し、適切に対応することによって危険を回避することは不可能ではありません。

血栓症

妊娠中は血栓ができやすい状態になります。また、帝王切開による出産もそのリスクを高めます。 そのため、血栓が肺の血管に詰まる肺塞栓症を予防するために、弾性ストッキングや下肢の加圧ポンプを使用します。 また、早期離床および積極的な運動も血栓症予防に効果がありますので、術後経過に問題がない場合は早めに歩いて トイレに行くようにしましょう。
もともと血栓ができやすい体質の方などは、血液が固まりにくくなるお薬を使用することもあります。

術後癒着

体には手術で傷ついた組織を治そうとする生理的な作用があります。 しかし治っていく過程で本当はくっついてほしくない組織同士がくっついてしまうことがあり、 一般的にこれを「癒着」と呼んでいます。
帝王切開はお腹と子宮を切開する手術ですので、一般の手術と同様に術後の癒着防止対策は重要な処置となります。 最近では、次回の帝王切開や将来なんらかの手術になる可能性を考慮して、癒着防止材により癒着を防ぐ処置をすることが 増えています。

癒着による合併症には次のようなものがあります。

  • 下腹部痛などの慢性的愁訴
  • 癒着性の腸閉塞
  • 次回手術時、癒着により手術操作が困難になる
  • 不妊症 など
反復帝王切開時(2回目以降の帝王切開時)における癒着のリスク

帝王切開自体は産婦人科では最も一般的な手術の一つですが、一度帝王切開で出産した方は、お腹の中で癒着が起きている可能性があるため、より細心の注意を払って2回目以降の帝王切開(反復帝王切開)が行われます。癒着があると、癒着をはがす必要があるため、赤ちゃんを取り出すまでの時間が長くなり、母子への負担が増加します。また、出血量の増加、膀胱や腸が傷つくなど、合併症が起こる可能性もあります。
最近では、癒着防止材を使用することで2回目以降の帝王切開において赤ちゃんを取り出すまでの時間が短縮されるといった報告もあります。

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癒着ってなんですか?

手術を行うと、お腹を閉じた後で本当はくっついてほしくない組織同士がくっつくことがあり、「癒着」といわれます。
特に症状が無ければ心配する必要はありませんが、腹痛などの症状が出ることもあります。
最近では癒着を予防するために「癒着防止材」を使用するなど様々な処置が行われています。

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麻酔はどうするの?

帝王切開では、麻酔科医の管理のもとで腰椎麻酔や硬膜外麻酔が多く行われています。
いずれも下半身に効いているだけなので、帝王切開中でもお母さんの意識はあり、産声を聞けますし、対面することもできます。
なお、状況によっては赤ちゃんを無事出産したのち、お母さんにはお薬で眠ってもらうこともあります。

腰椎麻酔(ようついますい)とは?

背骨と背骨の間から細い注射針でクモ膜下腔に麻酔薬を注入し、脊髄からでる神経を一時的にしびれさせる局所麻酔です。
持続時間は2時間程度と短いので、手術が長引く場合は他の麻酔方法を併用します。赤ちゃんへの麻酔の影響も心配ありません。まれに帝王切開翌日から1週間の間に頭痛を感じることがありますが、多くはベッド上安静+輸液により時間の経過と共に回復し、後遺症を残すことはありません。

硬膜外麻酔(こうまくがいますい)とは?

脊椎の硬膜外腔にカテーテルを挿入し、麻酔薬を注入し神経を一時的にしびれさせる局所麻酔です。
手術中でもカテーテルを介して麻酔薬の投与が可能なため、長時間の手術が可能です。術後2〜3日の疼痛管理にそのまま使用することもできます。



出血や胎児機能不全で緊急帝王切開になるときはすぐに手術が開始できるように全身麻酔を行うことがあります。
お母さんの意識がないため、赤ちゃんとの初対面は麻酔が覚めるまでおあずけとなります。
麻酔の影響で頭痛や吐き気を感じる場合がありますので、気分が悪い時には看護師に伝えてください。
また、個人差もありますが、帝王切開終了後はしばらく麻酔の効果が残るため、下半身に感覚がなく痛みを感じることはありません。 麻酔の効果が切れると傷の痛みや後陣痛などを感じるようになるので、我慢しないで医師や看護師に伝えて処置を受けてください。

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麻酔を使った場合、赤ちゃんへの影響は?

麻酔薬を使用する場合は、専門の麻酔科医が赤ちゃんやお母さんへの影響を考えて麻酔量を計算して投与するため心配ありません。
また、全身麻酔の場合は、時々赤ちゃんは麻酔により眠ったまま出てくることがありますが、医師がそれに対応した処置を行いますので心配ありません。

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麻酔時や帝王切開の痛みは?

痛みの感じ方は個人差が大きく様々ですが、麻酔時の痛みはすでに陣痛がある場合はあまり感じない人が多いです。 帝王切開中に麻酔の効きが弱く痛みを感じる場合、それは取り除く必要がありますので、医師や看護師などに伝えてください。

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帝王切開にかかる時間はどのくらいですか?

一般的には約1時間です。ただし赤ちゃんやお母さんの状態により時間は変わります。
特に、以前に腹部の手術をしたことがある人は、癒着の程度により時間が長くなることがあります。

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お腹の切開方法は選べる?

帝王切開の流れの中でも解説していますが、赤ちゃんを取り出すためにおなかの皮膚を縦か横に10〜12cm切開します。
なお、お腹の大きさが妊娠前と同じに戻ると共に、お腹の傷口も小さくなります。
切開方法については病院や医師の方針、帝王切開するための理由、麻酔方法や緊急度により決定されますので、事前に確認(相談)してください。

横切開

最近はコスメティックの観点から、帝王切開の傷跡が下着や水着に隠れるようにヘアラインのすぐ上を横に切る方法も行われています。

縦切開

おへその辺りから恥骨に向かっておなかの中心を縦に切開します。
出血や時間が少なく、赤ちゃんを早く取り出せるため緊急な場合は縦に切ります。横に切ったときに比べ、若干傷跡が目立つようです。 以前に帝王切開などでお腹を切開している場合、前の傷跡を切り取るように切開します。

切開方法の図

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子宮を縦に切開する方法とは?

通常は子宮の下部を横に切開して赤ちゃんを取り出します。
縦に切開するのは、下記の理由などによりお母さんと赤ちゃんに安全な方法として選択されます。

  • 通常切開する子宮の下部に胎盤が付着している。
  • 赤ちゃんが子宮の上の方にいる(子宮頸部筋腫があるまたは赤ちゃんが横向きで子宮の中にいる)
  • 赤ちゃんがかなり小さく(1000g未満)、逆子である など

通常の方法に比較して、子宮の筋肉をしっかり切開するので、出血がやや多くなります。また、次の妊娠では子宮の切開創が弱くなりやすいので、必ず帝王切開になります。

切開方法の図

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帝王切開でも立会出産はできますか?

立会出産が可能かどうかは、病院の方針とお母さんや赤ちゃんの状態によって決まります。
まずは、担当医師にご相談ください。

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定期妊娠健診では何をするの?

定期健診では、血圧測定、浮腫の検査、尿検査、子宮底長測定、胎児心拍の確認、体重測定を行います。妊娠の週数により、内診、超音波検査、血液検査、産道の細菌検査などを行います。
また、必要に応じて子宮ガンの検査などをする場合もあります。

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赤ちゃんを出すのに、お腹を押すのは本当ですか?

帝王切開ではお腹の下の方を切りますので、赤ちゃんをスムーズに取り出すためにお母さんのお腹を上から下に押すことがあります。また、鉗子分娩や吸引分娩を行う時に、お腹を押すのを併せて行うことがあります。

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子宮筋腫があるといわれたけど、出産に影響はないの?

子宮筋腫の状態にもよりますので、一概には言えませんが、多くは子宮筋腫を合併しない分娩と同じように対応されます。 ただし、筋腫のできている場所によっては帝王切開が必要な場合もあります。
詳しくは担当医師にお尋ねください。

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後陣痛ってなんですか?

後陣痛は、出産後、子宮が収縮するときに感じる痛みです。
帝王切開で出産した場合、陣痛そのものの痛みを経験していないため、この痛みを強く感じる方が多いようです。